🗳 10月7日(水)まで、富山県が意見を募集中
富山県が「富山県多文化共生の地域づくりの推進に関する条例(仮称)」と「とやま多文化共生推進基本計画(仮称)」の素案をまとめ、県民から意見を募集しています。締め切りは2026年10月7日(水)です。
県の資料は読むのがなかなか大変なので、何が書いてあるのかを平たく紹介します。賛成・反対の立場は書きません。
| 意見を募集しているもの | 条例(仮称)の素案と基本計画(仮称)の素案の2つ |
| 募集期間 | 2026年9月14日(月)〜10月7日(水)(郵送は10月7日の消印まで有効) |
| 出し方 | 県のフォーム/郵送/ファクシミリ。電話では受け付けていません |
| 書くこと | 住所・氏名・電話番号は必須(法人は法人名・所在地・電話番号) |
| 担当 | 富山県 地方創生局 多文化共生推進室 外国人共生社会推進課 076-444-8873(平日8時30分〜17時15分) |
そもそも、何の条例?
ひとことで言うと、「富山県に住む外国人が増えてきたので、日本語を教えたり、学校や病院、災害のときに困らないように整えたりします」と、県として決めておくためのルールです。
富山県に住む外国人は、いま25,714人。県の人口の2.58%で、40年前の11倍です。県内で働く外国人も16,460人と過去最多になりました。富山市・高岡市・射水市の3市に、その7割が暮らしています。
条例のほうは「県はこれをやります」「市町村・県民・会社はこういう役割です」という枠組みを書いたもので、全15条、PDFで8ページです。具体的に何をやるかは、同時に出ている「計画」のほう(25ページ)に書かれています。
| 気になるところ | 素案に書いてあること |
|---|---|
| 県民に義務ができる? | 「〜するよう努めるものとする」=努力義務です。全15条を通して、罰則の条文はありません |
| お金はいくらかかる? | 金額は書かれていません。「必要な財政上の措置を講ずるよう努める」という条文があるだけです(第14条) |
| いつ決まる? | いまは素案の段階。10月7日(水)まで意見を募集していて、そのあと県が意見の概要を公表します |
ここから下は、素案に書いてあることを条文そのままの言葉と、平たい言い換えを並べて紹介します。
「これで外国人が増えるのか」を決めるのは国
いちばん気になるのはここだと思います。素案を最後まで読んだ範囲では、この条例と計画に、人数の話は出てきません。
- 条例の全15条に、受け入れの人数や誘致に関する条文はありません
- 計画にも、外国人を何人にするといった目標の数字はありません(目標値・指標という項目自体が置かれていません)
- だれをどれだけ受け入れるかを決めているのは国の制度です。技能実習・特定技能がそれで、2027年度からは技能実習に代わって「育成就労制度」が始まります
県が決めようとしているのは、受け入れたあとの話です。日本語をどう教えるか、学校や病院、災害のときにどうするか、といったところになります。
ただし、まったく人数に関係しないかというと、そうとも言い切れません。計画には「企業が外国人材を受け入れ、定着させるための支援」や「外国人留学生に県内で就職してもらうための支援」が入っていて、富山に住み続けてもらう方向の取り組みは書かれています。
出典:条例(仮称)素案(PDF)/基本計画(仮称)素案(PDF)はじめに・第3章
暮らしの場面で、具体的に出てくる取り組み
計画の素案には、実際にやることが場面ごとに並んでいます。抜き出すとこうなります。
| 場面 | 素案に書かれていること |
|---|---|
| 学校・こども | 多言語の母子手帳と子育てアプリ/学校に日本語指導の先生や外国人相談員を配置/多言語の高校進学ガイドブックとガイダンス/県立高校の入試問題にルビをふる/外国人生徒の特別入学枠を作るか検討/夜間中学「高志のあかり中学校」が2027年4月に開校 |
| ことば | 地域の日本語教室とオンライン日本語教室/こども向けの日本語・学習支援教室/日本語を教える人を育てる/企業がやる日本語教育への支援 |
| 災害 | 「富山防災WEB」の多言語化/防災情報と災害マップの多言語化/外国人コミュニティや企業を通じた防災研修/地域の防災訓練に参加してもらう |
| 防犯・交通 | 110番通報や犯罪に加担しないための講習/増えている外国人運転者への交通安全教育/官民合同パトロール/関係団体と組んだ広報 |
| 医療 | 外国語で対応できる医療機関の案内(とやま医療情報ガイド)/119番通報の多言語対応/年金・社会保険の多言語資料と動画 |
| 住まい | 多言語の「県営住宅募集案内」/外国人を断らないセーフティネット住宅の登録を、不動産事業者に働きかける |
| 相談 | 富山県外国人ワンストップ相談センターや各窓口での多言語相談/相談する人材の育成 |
| 仕事 | 留学生と県内企業のマッチング/県技術専門学院の職業訓練/企業向けセミナーで受け入れ制度を周知 |
出典:基本計画(仮称)素案(PDF)第3章・巻末の一覧
日本人住民に向けた項目もあります。多文化共生のフォーラムや講座、地域・企業・学校での講座への協力、外国人がどんな仕事をしているかを県民に知らせる情報発信などです。
「暮らしやすく」と「ルールを守ってもらう」はセット
素案を読んでいくと、この2つは必ず並んで出てきます。片方だけの文書ではありません。
| 暮らしやすくする | 日本語教室、多言語の母子手帳、119番通報の多言語対応、住宅の紹介、相談窓口 |
| 日本のルールを覚えてもらう | 日本語教育(ルールや生活習慣を理解するため、と書かれています)、110番通報や犯罪に加担しないための講習、交通安全教育、防災訓練への参加、官民合同パトロール |
条例の第6条にある「本邦及び地域の社会規範を尊重しながら」という言葉も、外国人住民を含む「県民」全員にかかる書き方になっています。
計画の素案には、国の問題意識がそのまま載っています。
(国の課題認識)
・一部外国人のルールを逸脱する行為等に対する国民の不安や不公平感に対処する必要がある。
・社会規範等の理解促進、法やルールを逸脱する行為に対する公平・厳正な対処など安全・安心な社会を実現するために取組みが必要である。
出典:とやま多文化共生推進基本計画(仮称)素案(PDF)5ページ
計画はこれを受けて、「外国人のことがよくわからないことも不安感につながっている」として、日本人住民に向けて外国人の状況を知らせることを、3本柱のいちばん最初(共有)に置いています。
「条例」と「計画」のちがい
まず、今回の2つの文書がそれぞれ何なのかを整理します。
| だれが決めるか | どこまで効くか | |
|---|---|---|
| 法律 | 国(国会)が決めるルール | 日本全国に効く |
| 条例 | 県(県議会)が決めるルール | 富山県の中で効く |
| 計画 | 県が「これをやります」と示した実行計画 | ルールではなく、やることのリスト |
今回はこの2つがセットで出ています。条例の第9条で「知事は計画を作る」と決めていて、その計画の素案が同時に公開されている、という関係です。
条例の素案は、全15条
条例の素案は4つの章に分かれています。それぞれ何が書かれているかを並べます。
| 章 | 条 | 書かれていること |
|---|---|---|
| 第1章 総則 | 第1条 目的 | 何のための条例か |
| 第2条 定義 | 「多文化共生」という言葉の意味 | |
| 第3条 基本理念 | 人権の尊重が基本、という考え方 | |
| 第4条 県の責務 | 県が施策を作って実施する | |
| 第5条 市町村の責務 | 市町村は地域の実情に応じて取り組む | |
| 第6条 県民の役割 | 県民に期待されること | |
| 第7条 事業者及び民間団体の役割 | 会社や団体に期待されること | |
| 第8条 連携及び協働 | 県が連絡・調整をし、必要な支援を行う | |
| 第2章 多文化共生の推進に関する基本計画等 | 第9条 基本計画の策定 | 知事が計画を作り、公表する |
| 第10条 推進体制の整備 | 計画を進める体制を作る | |
| 第3章 多文化共生の推進に関する基本的施策 | 第11条 相互理解の促進 | 情報提供や交流の支援 |
| 第12条 教育及び生活の環境整備 | 日本語教育、学校教育、生活環境 | |
| 第13条 地域及び職場での活躍のための環境整備 | 地域活動や就労の環境整備 | |
| 第4章 財政措置等 | 第14条 財政上の措置等 | 必要なお金の手当て |
| 第15条 細則 | 細かいことは知事が決める |
出典:富山県「富山県多文化共生の地域づくりの推進に関する条例(仮称)」素案(PDF)
「多文化共生」の意味(第2条)
条例では、この言葉を次のように定義しています。
この条例において、「多文化共生」とは、国籍や民族等の異なる人々が、互いの文化的なちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくとともに、多様性を生かしつつ、活力ある地域社会を形成していくことをいう。
出典:条例(仮称)素案 第2条(PDF)
なお、計画のほうでは「外国人」「外国人住民」の範囲がもう少し広くとられていて、日本国籍を持たない人だけでなく、すでに日本国籍を持っている外国出身の人や、外国にルーツを持つ人も対象としています。
県民の役割として書かれていること(第6条)
「県民」について書かれているのは、次の条文です。
第6条 県民は、基本理念にのっとり、互いの文化的なちがいとともに本邦及び地域の社会規範を尊重しながら、多文化共生の推進に寄与するよう努めるものとする。
2 県民は、多文化共生の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
出典:条例(仮称)素案 第6条(PDF)
「努めるものとする」は、条例でよく使われる書き方で、努力義務を表します。素案の全15条を通して、罰則の条文はありません。
条文には「本邦及び地域の社会規範を尊重しながら」という言葉も入っています。「本邦」は日本のことで、日本や地域のきまり・生活のルールを尊重したうえで、という意味になります。
県が取り組むとしていること(第11条〜第13条)
| 第11条 相互理解の促進 | 地域や職場での相互理解につながる情報の提供、交流の支援など |
| 第12条 教育及び生活の環境整備 | 日本語教育、社会教育、学校教育、生活に関する環境の整備など |
| 第13条 地域及び職場での活躍のための環境整備 | 地域での活動や職場での就労に関わる環境の整備など |
いずれも「必要な措置を講ずるよう努めるものとする」という書き方で、いずれも県がやることとして並んでいます。
数字で見る、富山県の外国人住民
計画の素案には、県内の現状が数字で載っています。
| 外国人住民の数 | 25,714人(2026年1月1日時点)。県の総人口の2.58%で、どちらも過去最多 |
| 40年前は | 2,262人(1985年)。人口比0.20% |
| 多い市 | 富山市10,259人(住民基本台帳人口の2.56%)、高岡市、射水市。この3市で県全体の7割超 |
| 国籍(労働者) | ベトナム4,708人、インドネシア3,032人、中国2,156人、フィリピン2,117人、ブラジル1,353人など |
| 外国人労働者 | 16,460人、雇用する事業所2,651か所(2025年10月末。いずれも過去最多) |
| 働いている先 | 約4割が製造業 |
| 在留資格 | 技能実習・特定技能の割合が全国より高い。永住者・定住者・家族滞在も増えていて、滞在の長期化が進んでいる |
出典:富山県「とやま多文化共生推進基本計画(仮称)」素案(PDF)第1章
県は2019年(令和元年)9月に「富山県外国人材活躍・多文化共生推進プラン」を作っていて、そこから7年が経ったので作り直す、というのが今回の位置づけです。
計画の中身は「共有・共生・共創」の3本柱
計画の素案は25ページあり、施策が3つの柱に整理されています。計画の期間はおおむね5年間です。
| 柱 | ねらい | 書かれている主な取り組み |
|---|---|---|
| 共有 | 地域や職場での相互理解 | 外国人を取り巻く状況の把握と情報発信/多言語・やさしい日本語での情報提供/外国人ワンストップ相談センター/多文化共生のフォーラムや講座 |
| 共生 | 暮らしの段階に応じた支援 | 日本語教育と日本語を教える人材の育成/多言語の母子手帳/学校への日本語指導教員の配置/県立高校入試での特別入学枠の導入を検討/夜間中学「高志のあかり中学校」(2027年4月開校)/医療・年金・住宅の情報/防災訓練への参加/防犯・交通安全の講習 |
| 共創 | 外国人材の活躍支援 | 企業の受け入れ・定着の支援/外国人留学生の就職支援/地域活性化 |
計画には、アンケートの結果も載っています。日本人住民向けのアンケートでは、近所に外国人が住むことについて「生活習慣や文化のちがいによるトラブルの可能性が心配」という回答が多く、近所の外国人住民との関わりは約9割が「それほど関わっていない」と答えています。外国人住民向けのアンケートでは、困っていることの1位が「ことば」で44.4%でした。
出典:基本計画(仮称)素案(PDF)第2章・第3章
意見の出し方は3つ
| 方法 | あて先 |
|---|---|
| フォーム | 県のパブリックコメント専用フォーム → 意見の提出フォーム(富山県) |
| 郵送 | 〒930-8501 富山市新総曲輪1番7号 富山県地方創生局 多文化共生推進室 外国人共生社会推進課 あて |
| ファクシミリ | 076-444-9612(多文化共生推進室) |
- 様式は自由。ただし住所・氏名・電話番号は必ず書く(法人は法人名・所在地・電話番号)
- 電話での意見は受け付けていません
- 個別の回答はありません。意見の概要と県の考え方は、後日ホームページで公表されます
- 郵送とファクシミリ用の「ご意見の提出用紙」(ワード)が、県の意見募集ページに置いてあります
- フォームから出すときは、氏名・住所・メールアドレス・都道府県・案件名・意見の内容が必須です(入力すると自動返信メールが届きます)
- 公表されるときは個人が特定されない形になりますが、居住している市町村名は載ります
- 素案は県のホームページのほか、県庁(県民サロン・情報公開窓口・多文化共生推進室)、高岡・魚津・砺波の地方県民相談室、県立図書館でも見られます
さいごに
条例の素案が8ページ、計画の素案が25ページあって、正直なところ全部読むのはなかなか大変です。ただ、条例の本体は全15条、PDFで8ページです。気になるところだけでも目を通してみると、思っていたのと違う、ということもあると思います〜!
意見は10月7日(水)まで。フォームなら数分で送れます。
富山のくらしの制度の話では、2027年10月から始まる富山市の家庭ごみ有料化もまとめています。

条例の素案 → PDF(625KB)/基本計画の素案 → PDF(1,694KB)/意見の提出 → 専用フォーム
この記事は2026年9月16日時点の、富山県公式サイトの意見募集ページと、公表されている2つの素案(PDF)をもとに書いています。数字はいずれも素案に載っているものです。内容が変わることもあるので、意見を出す前に公式でご確認くださいね。






