最終更新:2026年10月9日
📌 3行でいうと
- 2025年の国勢調査で、富山市の人口が実際より少なくとも2,000人多く報告された疑いがあると、総務省はみています(報道各社)
- 2026年9月29日、総務省が統計法違反の疑いで、富山市の職員(名前は特定せず)を富山県警に告発しました。10月3日には県警が市役所を家宅捜索しています
- 人口をもとに決まる国からのお金(地方交付税)を、市は約6,000万円多く受け取ったと試算しています
この記事では、何が起きたのかと私たちへの影響を、総務省の発表と報道各社の記事をもとに時系列で整理します。捜査はまだ続いているので、新しい事実が出たら書き足します。
ひとことで言うと、何が起きたのか
| 何の調査で | 国勢調査(5年に1度、日本に住む全員が対象の国の調査)。今回は2025年10月1日時点のもの |
| 何をしたとされるか | 人が住んでいない世帯を「住んでいる」として扱い、人口を水増しした疑い |
| どれくらい | 少なくとも2,000人と総務省はみている(報道) |
| 誰が | 調査をした当時の富山市の職員。名前は特定されていません。複数の職員が関わった疑いがあります |
| いまの状況 | 富山県警が捜査中(2026年10月9日時点) |
| はじめての例 | 国勢調査をめぐって総務省が告発するのは今回がはじめて(報道) |
出典:総務省 報道資料/時事通信 2026年10月3日/富山新聞 2026年10月4日
総務省の発表文と、その意味
総務省の報道資料(2026年9月29日)にある、告発の中身です。
被告発人は、令和7年10月1日現在で実施された国勢調査の事務において、国勢調査員等が作成し、富山市に提出した調査世帯一覧の一部に対し、国勢調査員が現地調査により居住実態なしとして抹消した世帯を特段の根拠なく存在するものとして取り扱い、又は末尾に居住実態がない世帯を追加するとともに、当該世帯の調査票を作成して富山市の人口を水増しした疑いがある。
出典:総務省「統計法違反の疑いに係る告発」(2026年9月29日)
平たく言うと、次の2つです。
| したとされること | |
|---|---|
| ① | 調査員が家を回って「ここには誰も住んでいない」と消した世帯を、根拠なく「住んでいる」に戻した |
| ② | 誰も住んでいない世帯を、一覧の最後に書き足した |
| そのうえで | その世帯の調査票(回答用紙)も作った |
富山新聞によると、総務省は、調査員が鉛筆で引いた二重線を消しゴムで消し、その世帯の調査票も作ったとみているとのことです。
富山市に住んでいる人への影響
いちばん関係するのは地方交付税です。地方交付税は、国が集めた税金を、自治体の財政の状況に応じて配るお金で、計算に人口が使われます。
| 内容 | |
|---|---|
| 2026年度の交付額 | 172億8,000万円。水増しの疑いがある5月の速報値をもとに計算されていた |
| 多く受け取った額(市の試算) | 約6,000万円(10月2日に市長が会見で発表) |
| 最初の試算 | 9月30日の時点では約2億円。2,900人分として計算したもの |
| 多く受け取った分は | 国に返す可能性があり、その場合は翌年度の交付額から差し引かれる(読売新聞) |
| 市長の発言(10月2日) | 「総務省サイドで決められたことには返金も含めて従ってしっかりと対応してまいりたい」 |
出典:読売新聞 2026年10月1日/チューリップテレビ 2026年10月2日
市の説明では、速報値と確定値の差の2,936人を水増し分とすると、その人数で得られる交付金は約1億7千万円余り。人口に加えて、市税などの収入の見込み(基準財政収入額)も含めたすべての項目を確定値で計算し直すと、差は約6,000万円になった、とのことです。
富山市以外の人への影響
告発されたのは富山市の職員で、対象は富山市の人口です。地方交付税の話も富山市が受け取ったお金の話です。
なお、富山県の新田八朗知事は「誠に遺憾だ」とコメントしています。
ここまでの時系列
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年10月1日 | 国勢調査の基準日 |
| 2025年10月27日 | 調査員2,011人が調査票の回収を終える |
| 2025年12月上旬〜2026年1月下旬 | 市の企画調整課の職員21人が調査票の中身を審査。水増しはこの時期に行われた疑い |
| 2026年5月2日 | 県の推計人口(4月1日時点)で、富山市は399,344人。合併後はじめて40万人を下回ったと報道 |
| 2026年5月 | 国勢調査の速報値で、富山市は402,133人 |
| 2026年9月4日 | 総務省の職員が、市の担当課を訪ねる |
| 2026年9月29日 | 確定値は399,197人(速報値より2,936人少ない)。総務省が県警に告発。市長が組織的な関与を認めて謝罪。市議会が臨時の議員協議会を開く |
| 2026年9月30日 | 地方交付税が約2億円多く交付された可能性を、市長が明らかにする |
| 2026年10月2日 | 市長が会見。多く受け取った額は約6,000万円と発表 |
| 2026年10月3日 | 富山県警が市役所を家宅捜索 |
| 2026年10月5日 | 審査を担当した部署の幹部2人が異動(10月2日に発表) |
| 2026年10月5日〜6日 | 富山県警が、総務省から国勢調査の調査票の原本を押収し、実態と合わないものがないかを調べていると報道 |
| 2026年10月8日 | 市民団体「市民が主人公の富山市政をつくる会」が、第三者委員会での真相究明を求める要請書を市に提出。市長は、県警の捜査を理由に、市独自の調査は当面行わない考え(報道) |
出典:総務省/北國新聞(審査)/北國新聞(9月30日)/チューリップテレビ(9月30日)/北日本新聞(議員協議会)/富山新聞(5月2日)/読売新聞/時事通信/チューリップテレビ(10月2日)/北日本放送(10月6日)/共同通信(10月8日)
「推計人口」「速報値」「確定値」のちがい
ニュースに3つの人口の数字が出てくるので、整理します。
| 数字 | 出すところ | どうやって出すか | 富山市の数 |
|---|---|---|---|
| 推計人口 | 富山県 | 前回(2020年)の国勢調査の人口に、住民票の転入・転出、出生・死亡を毎月足し引きした数 | 399,344人(2026年4月1日) |
| 速報値 | 総務省 | 2025年の国勢調査を、早めに集計した数 | 402,133人(2026年5月公表) |
| 確定値 | 総務省 | 2025年の国勢調査の最終の数 | 399,197人(2026年9月29日公表) |
2,000人・2,936人・2,900人と似た数字が出てきますが、別のものです。2,000人は総務省がみている水増しの疑いの人数(報道)、2,936人は速報値と確定値の差(市は交付税の試算で、これを水増し分として扱っています)、2,900人は市が最初に交付税を試算したときに使った人数です。
なお、県の推計人口は2026年6月の公表(5月1日時点)から、2025年国勢調査の速報値を基準に計算する、と県が案内しています(県の推計人口PDF)。
出典:富山県 人口移動調査(推計人口のしくみ)/富山県 推計人口(PDF)/富山新聞 2026年5月2日/時事通信
市の説明
| 日付 | 誰が | 発言 |
|---|---|---|
| 9月29日 | 藤井裕久市長 | 組織的な関与を認めて謝罪。「事務処理をした組織が間違っていたのでないか」。住民基本台帳の人数と、調査員が現地で確かめた人数の差を縮めるために水増しが行われた可能性がある、と説明。責任について「辞任など自分自身への罰も含めて検討したい」 |
| 9月30日 | 企画調整課長 | 「基本的に市の審査の中だと思う」と述べる |
| 10月2日 | 藤井裕久市長 | 「幹部からの指示はなかった」。40万人を保つ動機は「全くないと断言できる」。「しかるべき時にしかるべき責任を取る」。幹部2人の異動は「企画管理部の通常業務に支障が出ないように警察の捜査にしっかりと対応するため」で、更迭の意図は否定 |
| 10月3日 | 藤井裕久市長 | 「県警の捜査に全面的に協力する」 |
10月2日の会見で、市の人口を40万人に保つことが動機ではないかと問われたのに対し、市長は「全くないと断言できる」と答えています。
出典:北國新聞 9月30日/チューリップテレビ 9月30日/北國新聞 10月1日/チューリップテレビ 10月2日/時事通信/富山新聞 10月4日
これからの流れ
| 内容 | |
|---|---|
| 捜査 | 富山県警が、統計法違反の疑いで捜査を続けている。総務省から調査票の原本を押収し、関係者への聞き取りを進めている(北日本放送 10月6日) |
| 法律の罰則 | 統計法第60条:6月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金 |
| お金 | 多く受け取った分は国に返す可能性があり、その場合は翌年度の地方交付税から差し引かれる |
| 人事 | 審査を担当した部署の幹部2人を、10月5日付で異動 |
出典:総務省(罰則の条文)/読売新聞/日本経済新聞
まだ分かっていないこと
- 水増しがあったとすれば、誰がどう関わったのか(捜査中)
- なぜ行われたのか(市長は、40万人を保つことが動機だったことを否定)
- 市長の言う「しかるべき責任」の中身と時期
このあたりは、捜査や市の発表で新しいことが分かりしだい、この記事に書き足します。
さいごに
ニュースを追っていても、数字がいくつも出てきて、正直なところ私も最初はよく分かりませんでした。並べてみると、話は「国勢調査の人口が多く報告された疑い」と「それで交付税が多く入った」の2つに分かれます。
続報が出しだい、このページを更新します。
富山市のくらしに関わる話では、2027年10月から始まる家庭ごみの有料化もまとめています。

この記事は2026年10月9日時点の、総務省の報道資料と、報道各社(時事通信・北國新聞・富山新聞・読売新聞・チューリップテレビ・日本経済新聞・FNNプライムオンライン・北日本新聞・北日本放送・共同通信)の記事をもとに書いています。捜査中の事案で、疑いの段階の内容を含みます。新しい事実が分かりしだい更新します。※アイキャッチは、富山市役所をもとに描いたイラストです。









